COLUMN

ワイヤーワークスの故郷を訪ねた3日間

2026年10月、ワイヤーワークスの故郷であるイギリス・ダービーシャー州のホワイトピーク蒸留所を訪れました。往復の移動を除けば、現地で過ごせたのは3日間。創設者のマックスの案内で、蒸留所の内部はもちろん、ワイヤーワークスを扱う地元のお店や、酵母を分けてもらっているビール醸造所にも足を運びました。

ワイヤー工場の跡地に建つ蒸留所

ホワイトピーク蒸留所の外観

ホワイトピーク蒸留所は、2016年に設立されたダービーシャー初のウイスキー蒸留所です。川沿いの、古くから続く森に囲まれたかつてのワイヤー(針金)工場を受け継いでおり、「ワイヤーワークス」の名もこの建物の歴史に由来しています。

歴代のワイヤーワークスが並ぶゲストルーム

ゲストルームの棚に並ぶワイヤーワークス

ゲストルームの棚には、これまでにリリースされたワイヤーワークスがすべて並び、さながらライブラリーのような趣です。暖炉のある落ち着いた空間で、過去のシリーズを一通りテイスティングすることができ、蒸留所ツアーもこの部屋で行われています。

発酵前の麦汁を味わう

発酵前の麦汁

仕込みの現場では、発酵前の麦汁をその場で味わわせてもらいました。まだアルコールを含まない、いわば“麦のジュース”の段階です。

原料にはイングランド産の大麦を使い、ピートを焚いたスモーキーな麦芽と、ピートを使わない麦芽とを使い分けています。麦汁は地元のビール酵母で発酵させたのち、銅製の蒸留器で蒸留し、樽で熟成を重ねてワイヤーワークスとなります。

ピーク・ディストリクトの自然

ピーク・ディストリクト国立公園の高台からの眺め

ダービーシャーは、実に自然の豊かな土地でした。写真は、イギリスの国立公園、ピーク・ディストリクトの高台からの眺めです。蒸留所はこの自然のそばにあります。

世界遺産の紡績工場、クロムフォード・ミルズ

クロムフォード・ミルズの工場の建物
クロムフォード・ミルズの売店に並ぶワイヤーワークスとジン

世界遺産に登録された工場群のひとつ、クロムフォード・ミルズにも立ち寄りました。老舗の紡績工場で、現在は資料館のような施設になっています。この一帯は、川の水の力を生かしたものづくりで栄えた土地です。館内の売店は小さなマルシェのような雰囲気で、イギリスのチーズやビール、ウイスキーと並んで、ワイヤーワークスとホワイトピーク蒸留所のジンが置かれていました。

地元の老舗に並ぶワイヤーワークス

ベイクヴェルのウイスキーショップ The Wee Dram
The Wee Dramの棚に並ぶワイヤーワークス

ベイクヴェルの町にある「The Wee Dram」は、古くから営業を続ける歴史あるウイスキー店です。マックスの案内で訪れたこのお店にも、ワイヤーワークスが置かれていました。マックスは、これを見せたかったようです。

マックスと訪れたレストラン

The Garden Roomで囲んだテーブル

マックスが案内してくれた中でも、ひときわ高級感のあるレストランが「The Garden Room」です。訪れたのは夜でしたが、マックスによれば、明るい時間にはとても美しい景色が広がる場所だそうです。長年ワイヤーワークスを扱ってくださっているお店で、メニューにはホワイトピーク蒸留所のお酒を使ったカクテルが1ページにわたって紹介され、ワイヤーワークスのウイスキーサワーも名を連ねていました。

町の歴史を伝える老舗パブ

Royal Oak の店内
Royal Oak のカウンター奥の棚に並ぶワイヤーワークス

マックスに連れられて訪れたもう一軒が、ワークスワースの町にある老舗パブ「Royal Oak」です。ピーク・ディストリクトの南の玄関口にあたる町の、石造りのパブ。かつて60軒以上あったというこの町のパブも、いまでは4軒を残すのみとなりました。その歴史を今に伝える一軒で、カウンター奥のウイスキー棚には、シングルモルトとともにワイヤーワークスが並んでいます。

酵母を分けてくれるソーンブリッジ醸造所

ソーンブリッジ・ブルワリー

ワイヤーワークスの発酵に使う酵母は、同じダービーシャーにあるビール醸造所、ソーンブリッジから分けてもらっています。今回はそのソーンブリッジにも足を運びました。マックスにとっても中に入るのは初めてだったそうですが、偶然居合わせた社長が、醸造所の内部を余すところなく案内してくれました。日本にも輸入され、世界に向けて輸出しているビール会社です。酵母を分けてもらうほどの、親しい間柄だといいます。

ロンドンの名店にも

ロンドンのベリー・ブラザーズ&ラッド
ベリー・ブラザーズ&ラッドの棚に並ぶワイヤーワークス

ロンドンでは、老舗酒商ベリー・ブラザーズ&ラッドの棚にも、ワイヤーワークスが並んでいました。日本でもその名を知られる名店です。

3日間をふりかえって

3日間を通して見えてきたのは、ワイヤーワークスが生まれる土地と、それを取り巻く人々の姿でした。自然豊かなダービーシャーで、かつてのワイヤー工場を受け継いだ蒸留所で造られていること。地元の老舗ウイスキー店やパブ、長年扱ってくださっているレストラン、そしてロンドンの名店にも並んでいること。そして、発酵に使う酵母は同じダービーシャーの醸造所から分けてもらっていること。

日本でワイヤーワークスを味わう際に、こうした土地の風景に思いを馳せていただければ幸いです。

ワイヤーワークスの商品一覧はこちらから。創設者マックスへのインタビューもこちらでご覧いただけます。